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若松丈太郎
『若松丈太郎著作集 第二巻 極端粘り族の系譜 ―相馬地方と近現代文学』
若松丈太郎氏は、埴谷雄高が父祖の地を同じくする埴谷と島尾敏雄と荒正人のことを「精神の異常性」でもあり「東北の鈍重性」とも言える「或る種の哲人ふう徹底性をもった永劫へ挑戦する根気強さ」を抱えていることから「極端粘り族」と名付けたことに対して、その「徹底した根気強さ」を自分を含めた蝦夷の末裔とも言える東北人の根底にある精神の特徴であると考えていった。(鈴木比佐雄 解説文より)
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解説:鈴木比佐雄 |
A5判/336頁/上製本 ISBN978-4-86435-516-2 C0395 |
定価:3,300円(税込) |
発売:2022年3月2日
目次
序文に代えて「極端粘り族」宇宙人のつむじ曲り子孫
第一章 相馬地方と近現代文学
はじめに
1 幸田露伴「うつしゑ日記」ほか
2 田山花袋「山水小記」ほか
3 志賀直哉「祖父」
4 河東碧梧桐『三千里』とその周辺
5 大須賀乙字の俳論と「松川浦舟行」
6 久米正雄「盛岡より東京まで」
7 加藤楸邨「相馬郡原ノ町 十五句」ほか
8 葉山嘉樹らの〝無産者文芸講演会〟と平田良衛
9 島崎藤村の書「草枕」来訪
10 埴谷雄高・荒正人・島尾敏雄
① 三人の出会い
② 三人と相馬
③ 三人と雑誌『近代文学』
④ 荒正人『増補改訂漱石研究年表』
⑤ 島尾敏雄『死の棘』
⑥ 埴谷雄高『死霊』
⑦ 三人に共通すること
⑧ 荒正人と相馬
⑨ 埴谷雄高と相馬
⑩ 島尾敏雄と相馬
11 高村光太郎の詩碑
12 草野心平「相馬野馬追祭」
13 新川和江「かわいそうにナ」
14 石垣りん「原ノ町市にて」
15 古山高麗雄「湯タンポにビールを入れて」「馬と人と大地の祭り」
16 高浜虚子の〝祝句〟
17 江見水蔭「相馬と伊達政宗」
18 沖野岩三郎『八沢浦物語』
19 山本周五郎『天地静大』と『失蝶記』
20 杉森久英『大風呂敷』
21 安岡章太郎『志賀直哉私論』
22 鈴木安蔵「阿武隈山脈のふもと」「つきぬなつかしさ」
23 高木敏子『ガラスのうさぎ』
24 木下順二『SK先生〝野馬追〟に参加する』
25 皆川博子『相馬野馬追い殺人事件』
26 相馬地方の現代歌碑と句碑
27 詩人が作詞した相馬地方の校歌
28 そのほかの来訪文学者
29 相馬地方と近現代文学・外篇
① 大須賀筠軒
② 井土霊山
③ 天野秀延
④ 亀井文夫
30 年表 相馬地方と近現代文学・思想
第二章 極端粘り族の系譜
1 井土霊山
① 霊山・井土經重
② 警官練習所時代の井土經重
③ 言論人 井土霊山
2 大曲駒村
① 大曲駒村
② 江戸川柳研究者 大曲駒村
3 埴谷雄高
① 彗星とともに宇宙空間に還る
② 高雄・台南遊記
4 島尾敏雄
① 四十一年目の帰還
② 加計呂麻島へ
③ 島尾敏雄における〈いなか〉
5 荒正人
① 文学研究者・評論家 荒正人
6 鈴木安蔵
① 憲法学者 鈴木安蔵
② 鈴木安蔵「歌稿」について
7 亀井文夫
① 映画監督 亀井文夫
② 鳥になりました
第三章 インタビュー・対談
1 「南相馬伝説の詩人」若松丈太郎インタビュー
2 〈南相馬から〉原発をなくし私たちが変わる機会に
3 「東北」「震災」「津波」そして今
4 戦後日本社会における人間、教育、原発など
第四章 資料編
1 加藤楸邨旧居の保存について
2 北川多紀とそのふるさと
3 ゆかりの人びと
4 感謝を込めて、新藤謙さんを悼む
5 平田良衛とその周縁(一)
6 平田良衛とその周縁(二)
7 講演・『極端粘り族』宇宙人のつむじ曲がり子孫
『若松丈太郎著作集第二巻 極端粘り族の系譜』解説
壮大な福島浜通りの文学史を構想していた「極端粘り族」
鈴木比佐雄
初出一覧
編集付記
人名索引